<平成21年度2月号より>

 先日、ある幼稚園の園長先生から興味深い話を伺いました。体育講師を招き、体育に重点を置いています、というキャッチフレーズの幼稚園の子どもほど、身体能力が低いというデータが出ているそうです。なぜか。体育は、跳び箱やら鉄棒やら組体操やらは、よほど補助教員がいれば別ですが、基本的には1人ひとりにしか指導できない科目です。すると、何が起こるか。順番を待たされる子ども達の方が断然多くなり、体力どころか、集中力さえも子ども達から奪っていくのですね。体育のみならず、私が教員に口を酸っぱくして言うのは、「子ども達を待たせない」ということです。段取りよく、子ども達の状態を見て、臨機応変に、しかも自分が立てた1日の流れを変えずに、と要求しています。体育も同じことで、鉄棒の指導の時には、子ども達がひとりで、しかも安全に動けるサーキットを用意して、楽しみながら待てるように、配慮しています。保育時間を、有効にかつ合理的に使う、そういう感覚を常に持っていないと、教員として失格とさえ考えます。
 さて、今はどのクラスも発表会の劇遊び一色です。今の劇遊びになって、今年で4回目の発表会です。以前は   お遊戯会、と言っていました。CDに合わせて、それぞれに配役された子ども達がちょっとした衣装を着て動くだけの、大した面白みのないものでした。自園の保育に疑問を持ちながら、ではどうしたらもっと子ども達が楽しく、しかも成長できるのか、悩み続けていた5年前、千里敬愛幼稚園の小谷隆真先生と研修会で幸運にも出会いがありました。千里敬愛幼稚園の保育発表会(劇遊び)に出掛け、それはそれは衝撃を受けました。自園の遊戯会とはまるで質も内容も違っていたからです。こういう保育、発表会をしたいと思ったのは、自然な流れでした。教員達には苦労を掛けましたが、この4年間で教員も大きく成長しました。
 発表会まであとほんの僅かしかありません。教員達には多少焦りはあるでしょうが、最後までいきつくことよりも、子ども達の表現を深めていくことに神経をつかいます。年少の子ども達は、「なりきり」、年中、年長の子ども達は「演じる」「演技」「芝居」を楽しんでいます。年中や年長の子ども達は、登園してきて開口一番「今日も○○(作品名)する?」と言ったり、セリフを言い合ったり、挿入歌を口ずさんだりしているそうです。楽しんでいる証拠です。子どもは楽しいことは再現します。ご家庭でも1人劇ごっこをしていないでしょうか?あるお子さんは2歳の弟をつかまえて、一緒に劇ごっこをしているそうです。
 1学期は「経験の学期」2学期は「充実の学期」、3学期は「完成の学期」と位置づけています。発表会はそのしめくくりにあたります。単純に保護者の方に見せることが目的ではありません。運動会もそうですが、子ども達が自分の能力を発揮しているのを、見させてもらう会です。この発表会は、観る方の感性も問われます。今年はホームページ上で、発表会のページを作りました。劇の内容を予習になれば、と掲載しています。アップが滞る時は、劇も作りこみをしているので、なかなか先に進めないとき、と思って頂いていいでしょう。年少の場合は、まだリズム・バリエーションやクリエイティブ・ムーブメントで、要素を遊んでいる段階なので、お話が繋がっていません。子ども達の音楽をとらえる感性は、私達の数倍優れていて、フレーズをピアノで弾くと、すぐに音楽を感じて動くことができます。場面を遊び、それからだいたい1から2週間前に、全部の場面をつなげます。その段階でホームページをアップします。ホームページを見るために、パソコンを購入したとおっしゃるご両親や、祖父母のみなさんもいらっしゃるようですね。皆様のご理解、ご支援、ご協力、そういったものが私達の意気も高めてくれます。ありがとうございます。

 


<平成21年度1月号より>

<発表会の作品の作り方>

@子ども達と一緒に作る作品
最初から台本があったり、動きや表現を指導者が決め、子ども達に教える活動ではありません。
作品のタイトルと構成、選曲は担任が行いますが、ひとつひとつの動きや台詞などは、年中や年長の場合、ほぼ100%子ども達からの提案を取り上げています。年少児は台詞自体がない、或いはあっても掛け声程度ですが、表現は子ども達がそれぞれの思いを作品の中で表しています。だから、子ども達は自分達で作り上げているという意識を持ち、「今日も○△(作品名)ごっこする?」と聞いてくるのです。人前で発表したり、自分の考えが取り上げられることで、積極性が一層育ったり、友達との意見に折り合いがつかず悔しいながらも妥協したりと、教育的な効果も如実に見えます

A全員が主役
誰だって主役をしたいものです。ところがお姫様役はほんの数人で、その他大勢の役に泣いた経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。これでは活動への意欲を最初から阻害してしまいます。私達の作品作りでは違います。ある場面ではアリスをやるけれど、ある場面では青虫の役を、またある場面では兵隊の役、と全員がほとんどいつも舞台やフロアに登場しているはずです。また、出来上がった頃には役をどんどん交代して行うことも可能です。だって子ども達全員が主役で、全部の台詞を覚えているからです。

B普段の保育が経験になる
臼井幼稚園では日常の保育でリズム・バリエーション、クリエイティブ・ムーブメントを年間通して行っています。また朝の当番発表では自分のことを友達の前で話します。こうした経験の積み重ねが発表会に繋がります。積み重ねとは、練習の繰り返しではありません。新たに生じた問題や、初めて出会う局面で、どうすべきかの能力、「応用力」を育てることです。

C年少での進め方
年少の進め方は、子ども達の好きそうな、楽しそうな場面から始めます。子ども達の関心は必ずしも物語の最初ではありません。発表会の経験が無いから、子ども達が楽しめる場面から行うことで、興味を高める効果が生まれます。また、年少でストーリーを追い過ぎると、子ども達の表現を十分に引き出せないからです。子ども達の好きな場面で、十分に表現を引き出すと、より意欲的に活動に参加してくれます。

さて、年中と年長では造形月間終了直後から、作品作りが始まっています。ホームページをご覧になれば、一目瞭然ですね!年中、年長では最初から作品を作りこんでいきます。子ども達は先へ先へと進みたがるのですが、丁寧に十分に表現を引き出してから進んでいきます。今日よりも明日、明日よりも明後日、子ども達の表現は一層深まり、作品に入り込んでいきます。演じる楽しさ、喜びを知った子ども達は、将来どんな場面でも自分を表現することを怖れないだろうと、確信しています。臼井幼稚園の子ども達は、運動でも、描画でも、劇遊びでも、なんでもいい、自分の得意な分野で自分自身を表現できる力を確実に身に付けていっています。
そして忘れてはならないのは担任のピアノ。夏休み前に曲を決めて練習を重ねています。リズムやテンポが毎回違うと、子ども達は表現をためらうようになります。担任のピアノがすべて!と言っても過言ではありません。  この冬休みも家で幼稚園で、担任達はピアノの練習に励むことでしょう。


<平成21年度12月号より>


  あるテレビ番組で、紹介され、保育業界でちょっとした話題になっている、ある保育についてお話します。仕事柄、番組表で教育に関する内容については、チェックします。その保育園の園長さんは「子どもの【やる気スイッチ】を入れる4つのキーワード」として次のようなことを、自分の経験から学んだと言っています。
@子どもは競争が好き 
A子どもは真似が好き
B子どもはちょっとだけ難しいことが好き
C子どもは認められたがる
100%間違いではないのですが、その方法が全く違っています。

@子どもの競争心は競い合うだけでは自己中心的な人間になるし、相手の気持ちを考えられない人間になります。臼井幼稚園のような運動会は、決して個人の結果を追求するのではなく、赤白で競い合いながら仲間意識を育てることに主眼を置いています。だからあれだけ夢中になれるのです。

A模倣は確かに好きです。しかし、そこから自己表現に繋がらない限り、自分の考えを持てる人間にはなれません。自分で考えて自分で行動するという「生きる力」は指導者の模倣だけでは「やらされている」との思いが子ども達に生まれます。先月紹介した○○式で描けた絵を私の絵じゃない」と子ども自身が言うほどです。これほどの「やらせ」がどこにあるでしょうか?

B挑戦するハードルも、それぞれの能力を使ってクリアできる程度の課題でなくては「やらせ」以外の何物でもありません。子どもが「やろう」とするのは、自分自身にとって「快」であることがまず重要なのです。叱られながら、泣きながら挑戦させられるのが、何故「やらせ」でないのでしょうか?
Cいくら褒めてもらうのが好きでも、相手からの共感がないかぎり、人の顔色を見るだけの人間になります。褒める、叱るの「賞罰」は伝統的な教育では当たり前のように使われます。しかし、ピアジェは「賞罰」での子どもの動機付けを否定しています。 同時にこの保育には、「子どもは子ども同士で学ぶのが好き」という観点と「自己表現の喜び」という観点が全く欠如しています。これでは
「人間教育」としての幼児教育と大きな隔たりがあります。しかも個人がどれだけ出来たかが、指導者達の目標なのですから、子ども達は犠牲者だと言わざるを得ません。 英才教育、早期教育、やらせ教育と名前を変えても、日本の大半の幼稚園にはこういった教育が蔓延しているのです。 
FOBで学ぶ仲間の幼稚園の近隣の幼稚園で、この方式に転換した幼稚園があるらしいのですが、入園2ヶ月後に10 名以上の子ども達が退園したそうです。能力的について行けないだけではなく、子どもの気持ちを無視した環境に耐えられない、そういう子は他にももっといるはずです。恐ろしいことです。もっと恐ろしいことに、この保育は、保育のなんたるかも知らない、外注のスポーツクラブの体育講師が、急仕立てで教員達を指導するらしいです。

 先に紹介した保育園のように、大人から「やる気スイッチ」を入れても、外圧(やらせ)がなくなると即座にスイッチオフしてしまいます。自ら取り組もうとする意欲を育てるのが幼児期で重要なのに。臼井幼稚園の「楽しいから好き」は人生の生き方にも通じる根本原理です。


<平成21年度11月号より>


 造形月間に入りました。運動会が終わると、子ども達は多くの描画を描きます。担任達はどう投げ掛けたら、子ども達の絵が豊かなものになるか、頭をひねります。
描画だけではなく、表現活動の意義は「自分の思いを表出することで、自己の確立に導き、同時に表出したものを受け止めてもらえることでのコミュニケーション能力の向上」という点にあります。
しかし結果ばかりに目をむけ、その過程を無視している幼稚園がほとんどです。描画で言えば、
「うまい絵を描かせる」という結果にとらわれて、絵を描いている子どもの心が置き去りになっているのです。
 「うまい絵を描かせる」ための○○式指導法が今、小中学校に蔓延しつつあります。「絵の描けない子も描けるようになる魔法の指導法」として取り上げられていますが、私の目には「指導できない教師のための指導法」に過ぎません。この考え方は幼稚園にまで侵入しようとしています。 実はこの方式では「シナリオ」と呼ばれる指導案があります。それには手順がぎっしり書かれてあって、指導者はそれを正しく読みさえすればきちんとした作品に仕上がるというものです。指導者自身の個性すら剥奪してしまうのです。
 太陽を赤ではなく、黄色で描いたら描き直しを命じられたり、月は左上じゃないとだめだとか、月を見上げている人の顔は横顔でなければならないとか。没個性を奨励しているかのようです。実際にその指導で描かれた絵はどれも同じように見えます。1枚だけを見たら、素晴らしくかけているようでも、子ども達の個性を抹殺するような指導を受けた子ども達がどんな大人になるのか、想像するだけでも恐ろしいことです。
  臼井幼稚園の描画活動は、描画展出展のために描く絵は一枚もありません。子ども達の思いが
どれだけ多彩に画用紙の上で表現できるようになるか、描く喜びを子ども達自身が感じてくれているかを私達自身の評価基準にしています。紙の画用紙の上での表現が描画であるなら、壁面製作は、描く、作るなどの複合的な活動です。また年齢に応じた共同作業も壁面製作では重要な要素のひとつです。
さて臼井幼稚園では壁面製作は具体的に次の点に留意しています。
@クラスの一員であることをめざめさせたい。
A自分を取り巻く環境に対する関心をめざめさせたい。
B子ども達の社会性を育てながら、社会生活の喜びをめざめさせたい。
C新しい活動の刺激で、より強固な主体性をめざめさせたい。
D教師自身の指導力を育てたい。
単に保育室を可愛く飾るものではなく、また造形的な能力を高めるためだけではありません。


<平成21
年度9月号より>
<新型インフルエンザについて>
 
新型インフルエンザの流行にいささか恐怖を覚えながら、2学期が始まります。幼稚園では感染の拡大を防ぐため、子ども達に手洗いうがいをいつもよりも頻繁に励行するように教員へ伝えております。また保育室の手洗い石鹸はより消毒作用のあるものに替え、
保護者の皆様が来園される際には、アルコール消毒をして頂くよう、準備するつもりです。
新型インフルエンザは、重症化し、インフルエンザ脳炎になってしまうと怖いのですが、早期に医療機関を受診し、適切な薬の投与をすれば風邪と同じように、確実に治ります。ワクチンの接種については賛否両論あるところです。正しい知識を持ち、予防すること、また罹ってしまったら慌てず、早めに医療機関を受診することで重症化を防げます。インフルエンザの予防方法等を下記に記しておきます。

●発熱やのどの痛み・咳等の呼吸器症状がある方は、早めに医療機関を受診しましょう。

〜早めの受診がかんじん〜

  受診が遅れると、重症化する場合がありますので、注意してください。また基礎疾患のある場合は、重症化する危険性が増すそうです。基礎疾患:妊婦、幼児、高齢者 、慢性呼吸器疾患・慢性心疾患・代謝性疾患(糖尿病等)・腎機能障害・免疫機能不全(ステロイド全身投与等)等を有しており、治療経過や管理の状況等を勘案して医師により重症化のリスクが高いと判断される方等。

■咳・くしゃみがでたら、他の人にうつさないためにマスクを着用しましょう。
■使用したマスクはゴミ箱に捨てましょう。
■人混みへの外出はなるべく避けましょう。
■外出時には、説明書に従って、マスクを正しく着用しましょう。
■外出後のうがいや手洗いを日常的に行いましょう。
■手洗いは石けんを使ってしっかり行いましょう。

●インフルエンザの感染経路  
主に飛沫感染・・・感染した人の咳、くしゃみ、つば(1〜2m範囲内)などの飛沫とともに放出されたウイルスを健康な人が吸入することによって感染します。
接触感染:感染した人がくしゃみや咳を手で抑えた後や、鼻水を手でぬぐった後に、机やドアノブ、スイッチなどに触れると、その触れた場所にウイルスが付着しますが、その付着したウイルスに健康な人が手で触れ、その手で目や鼻、口に再び触れることにより、粘膜・結膜などを通じてウイルスが体の中に入り感染する場合があります。

<本を読む子どもを育てたい>
 夏休み前の手紙にも、読書についてちょっと辛口のベネッセ調査を掲載しました。私は皇后美智子様の御本「橋をかける」(1998年刊 すえもりブックス)を最近改めて読み直しました。幼少期、子どもが自ら本を読む姿勢は先日の記事のように親御さんの影響が少なからずあるのでしょう。そして自ら本を読み始める時、読書が子どもにとってどのような影響があるのか、子どもの頃を思い出しながらお書きになられた「橋をかける」には、戦時中、読書に苦労された美智子様の思いが、代弁しているのではないかと思うのです。スポーツの秋でもありますが、読書の秋です。親御さんも読書に耽る喜びに浸っては如何でしょうか。
これより「橋をかける」から抜粋致します。

今振り返って、私にとり、子ども時代の読書とはなんだったのでしょう。何よりも、それは私に楽しみを与えてくれました。そして、その後に来る、青年期の読書のための基礎を作ってくれました。
それはある時には私に根っこを与え、ある時には翼をくれました。この根っこと翼は、私が外に、内に、橋をかけ、自分の世界を少しずつ広げて育っていく時に、大きな助けとなってくれました。
読書は私に、悲しみや喜びにつき、思い巡らす機会を与えてくれました。
中略・・・・本の中で人生の悲しみを知ることは、自分の人生に幾ばくかの厚みを加え、他者への思いを深めますが、本の中で、過去現在の作家の創作の源となった喜びに触れることは、読む者に生きる喜びを与え、失意の時に生きようとする希望を取り戻させ、再び飛翔する翼を整えさせます。悲しみの多いこの世を子どもが行き続けるためには、悲しみに耐える心が養われるとともに、喜びを敏感に感じとる心、又、喜びに向かって伸びようとする心が養われることが大切だと思います。
・・・読書は、人生の全てが、決して単純でないことを教えてくれました。私たちは、複雑さに耐えて生きていかなければならないということ。人と人との関係においても。国と国との関係においても。
・・・子ども達が自分の中に、しっかりとした根を持つために
子ども達が、喜びと想像の強い翼を持つために
子ども達が、痛みを伴う愛を知るために
そして、子ども達が人生の複雑さに耐え、それぞれに与えられた人生を受け入れて   生き、やがて一人ひとり、私共全てのふるさとであるこの地球で、平和の道具と
    なっていくために。

「橋をかける 子ども自体の読書の思い出」(著者 美智子  すえもりブックス刊)より ※文春文庫より文庫本も出ています。


<平成21年夏休み号より>

テキスト ボックス: 子どもを賢く育てる法  〜 本読む親の子、優秀     下位はワイドショー 〜  ベネッセ調査より       

 5月下旬の朝日新聞に上のような見出しで興味深い調査結果を掲載していました。以下が記事の内容です。
* * * * * * * * * * * * *
「成績上位の子どもの保護者は本をよく読む」「下位の子の親が好むのはテレビのワイドショー」。
お茶の水女子大とベネッセ教育研究開発センターが共同で調査した所、親をハッとさせるこんな結果が出た。保護者の普段の行動と子どもの学力には強い関係性があるという。
調査は07年11月〜08年2月、各地の5年生2,952人と保護者2,744人に実施。子どもにはベネッセのテストを説いてもらい、保護者には選択肢から選んでもらった。
国語の成績をみると、上位4分の1の最上位層の保護者の70.6%が「本(漫画や雑誌を除く)」と応えたのに対し、下から4分の1の最下位層は56.9%にとどまり、13.7ポイントの差があった。
最下位層では「家には本(漫画や雑誌を除く)がたくさんある」という回答も72.6%あり、最下位層より24.6%高い。「子どもが小さい頃、絵本の読み聞かせをした」も80.9%で、17.9ポイント高かった。
一方、最下位層の親に多いのは「テレビのワイドショーやバラエティ番組をよく見る」「カラオケに行く」など。
しかし、成績下位の子の親が子どもの学習に無関心というわけではない。
「ほとんど毎日、子どもに『勉強しなさい』という」という答えは56.9%と、最上位層より5.7ポイント高かった。調査チームは、子どもの成績が思わしくないために小言を言いがちになるのでは、とみている。

親の行動と子どもの学力(国語)の関係

 

成績最上位層
(%)

成績最下位層
(%)

上位から下位を 
ひいた差(ポイント)

本(雑誌や漫画を除く)を読む

70.6

56.9

13.7

新聞の政治経済欄を読む

60.2

46.4

13.8

パソコンでメールをする

35.6

23.8

11.8

テレビのニュース番組をよく見る

74.1

66.3

7.8

ほとんど毎日、子どもに「勉強しなさい」と言う

51.2

56.9

-5.7

カラオケに行く

13.5

20.4

-6.9

以前のように土曜日も学校で授業をして欲しい

59.3

66.4

-7.1

テレビのワイドショーや
バラエティー番組をよく見る

25.0

35.0

-10.0

スポーツ新聞や女性週刊誌を読む

18.0

28.6

-10.6

* * * * * * * * * * * * *
家庭環境と学力との関係はこれまでも言われてきました。資質の遺伝の要素も大きいでしょう。しかし、「氏より育ち」と言われるように、その後の家庭環境も子ども達の成長に大きく関与しています。先の調査で興味深いのは「ほとんど毎日、子どもに『勉強しなさい』と言う」と「以前のように土曜日も学校で授業をして欲しい」の親の態度が、必ずしも学校の成績とは結びついていない点です。自分はテレビのワイドショーや女性週刊誌を読むだけなのに、子どもには口うるさく「勉強しろ」と言い、学校にも色々注文を出す親のタイプが浮かび上がります。学校の成績が良いだけが人生の幸せではありません。しかし努力の先には必ず結果がついてくることを何らかの形で子ども達に無言のうちに知らせたいものです。是非是非、有意義な夏休みをお過ごし下さい。

<平成21年7月号より>

  ぬたくりや合同遊びが延期することなく行なうことができました。年長は友達と一緒に何かを作ったり、協力し合ったりしていました。年少や年中では友達との関わりよりも、自分の世界の想像力を目一杯使って遊んでいるように見えました。昨年は絵の具で汚れることを嫌った子どもが、今年は楽しそうに遊べているのを見て、この一年の成長を感じられたし、教育が子どもを変えていく力を感じました。
先日、NHK「クローズアップ現代」を興味深く観ました。昨年、学力低下問題を受けて学習指導要領が改訂されました。この20年で授業時間が削減され、学習内容も易しく
なっているのにもかかわらず、勉強についていけなくなる児童が、小学校4年生前後に急激に増えているそうです。そこで思考力を使う勉強法なるものに取り組んでいる小学校がいくつか紹介されていました。やらないよりは、やった方が、やらなければならないのでしょうけれど、これまで100マス計算やドリルに依存した学習スタイル、いわゆる詰め込み、暗記にとどまる勉強法をやってきて、急に応用力と言われても、子どもにとっては酷なことです。早期教育を良しとする幼児教育の現場すらある、というよりもそれが主流となっていると言えるかもしれません。詰め込んで覚えた知識は一時的なもので、柔軟性に欠け、想像力や応用力が育ちません。子どもが自ら知りたいと思って得た知識や技能は、一度覚えたら決して忘れません。子どもにとって、知ること自体、解決すること事態が快適だからです。新鮮な気持ちで自発的に学習していくなら、1回だけの経験でも知識は定着します。反復を全面的に否定するのではありませんが、1回の活動毎に観点を変える必要があります。これは臼井幼稚園の保育の基本的な方針です。ピアジェによれば、子どもの知的発達は、正答の増大ではなく、誤答を自分で発見し、修正する能動的家庭にのみ存在するとしています。
ちょっと固い内容になってしまいました。幼稚園では子ども達にやってあげられることを全力で、職員全員が前向きに取り組んでいます。保護者の皆様も、是非お子様がいる間に幼稚園生活を楽しんで下さい。


<平成21年6月号より>

  幼児教育に関わっているので、そういう関連の本をよく手に取ります。ゴールデン
ウィーク中に立ち寄った本屋で購入した本を今日はご紹介したいと思います。本自体が
絵本のようにできていますから、あっという間に読めますが、インターネット、ゲーム、メールに振り回される現代に対する警鐘として深刻に受け止めなければならない内容です。幼稚園にお迎えにいらっしゃる親御さんが、お子さんを見ずに携帯でメールを打ち、
お子さんが「ママ!」と言っているのに携帯から目を離さず子どもを見ずに「ちょっと
待って。」子どもは自分のことを携帯よりも大事じゃない存在だと、そのうち思い始めますよ。私はそういう危機感を覚えます。幼稚園では毎日絵本の読み聞かせをします。「絵本は現実体験」これから、もっともっといい本を増やして、子ども達に読んであげたいと思います。

「みんな、絵本から」(柳田 邦夫・著 石井 麻木・写真) より以下抜粋。
読み聞かせは「現実体験」
絵本の読み聞かせは アラジンの魔法のランプ。
子どもの心は どんどん物語の時空へ入っていく。
絵本の中身は ファンタジーでも、
読み手の 情感をこめた肉声、寄り添う身体の感触、想像力を刺激する絵、
ゆっくりと流れる時間、それらが一体となって、
  子どもにとっては 絵本の世界が 全身で感じる
「現実体験」に等しいものとなっていく。
心のなかに 忘れえぬものとして 染みわたっていくのだ

 子どもをダメにする10か条、なんていうのもあります。(短めに紹介します)
1)おカネやモノを 欲しいだけ与える
2)子どもをしつけるために、殴ったりする(虐待)言うことを聞かなければ、口もきかず、食事も用意せず、完全に無視する(精神的虐待)。
3)子どもがやることに干渉し、宿題の一字一句にまで口出しする。「お前はだめだ」 「ばかだ」と 人格を否定する言葉を繰り返す。いいところがあってもほめない。
4)テレビ、ゲーム、ケータイ、パソコンを子ども部屋にそろえてやり、好きなように
   使わせる。
5)我が家の生活時間、生活習慣を決めないで、夜更かしをしても注意しない。
6)家族一緒に食事をしない。忙しさを理由に「好きなものを買って食べなさい」と
  言っておカネを渡す。
7)家族それぞれの家事の分担を決めず、家事の手伝いもさせない。
8)夫婦が子どもの前で、年中喧嘩をし、家の中を冷え切った緊張感でみなぎらせて
  おく。
9)子どもに対し、夫婦のどちらかが相手の悪いところばかりを話したり、学校や教師の
  悪口ばかりを言う。
10)子どもが2人以上いる場合、どちらかばかりに愛情を注ぎ、他の子どもを無視する。

今は幼稚園児だから、関係ないことばかりじゃない、という声も聞こえてきそう。でも小学生になるのなんて、もう本当にすぐです。私達は温かい血の流れている人間です。私達の保育活動は、ケータイやパソコン、テレビに負けない、ことも目標にしています。

<平成21年5月号より>
みなさんと子どもの違いは何でしょうか?「子どもの良いところを10個探しなさい」ではありません。「子どもらしさ」でも同じです。これなら単に「子ども讃歌」に過ぎず、幼児教育を考える人間には落とし穴になる危険性も含むからです。いわゆる「子ども中心主義」「子どもが楽しんでいればそれで良い」の考えにつながる危険性があるからです。
それをごく客観的に「大人と子どもの違い」を発見することから、真の子どもの姿を見つける姿勢が備わるのだという考え方です。ある幼稚園の保育者がレポートしてきた一部を紹介します。

  1. 初対面でもたくさん話をする
  2. わからなくてもみんなと一緒に手をあげる
  3. 友達同士の会話でかみ合わなくても相槌を打つ
  4. 泣いていても何か質問すると涙が止まり、話をしてくれる
  5. ケンカして大泣きしても「ごめんなさい」と言われたら「いいよ」と言って、すぐに再び   一緒に遊び始める
  6. 「どうして?」「なんで?」とすぐ聞く
  7. 大人や友達の真似をしたがる

 学年によっても当然異なりますが、上記に共通しているのは子ども達は会話の内容に関心があるのではなく、周囲の人たちとコミュニケーションをとりたがっている点です。
「なんで太陽は赤いの?」と聞かれて悩む必要などありません。子ども達はお母さんと話をしたいだけなのです。「そんなの学校へ行ったらわかる」では子どもの思いは途切れてしまいます。「ほんと、不思議だね、どうしてだろうね」と応えるだけで充分です。この「応える」ことが大切なのです。大切と書いたのは、普段忙しいために応えきれていないかな?と省みて頂きたいからです。
答えがわかっていないのに挙手する子どもも同じです。だから私達教師は「わからない人は手をあげないで」なんてことは絶対に言いません。「忘れちゃった?また思い出したら教えてね」と応えます。子ども達が話しかけたら「今ご用事しているから後でね」とはくれぐれも仰らないで下さい。ただし年長にもなると「お母さん聞いてるの?!」と鋭い批判も飛んできます。
友達に関することについて。ケンカして大泣きしても・・などの点は、子ども達にとって友達、あるいは周囲にいる同年齢の子ども達の存在がいかに大切かを物語っています。友達がとても大切な存在だから、友達に対しても寛容でいられるし、友達が大切なのは、友達関係から子ども達は多くのことを学んでいることを無意識のうちに知っているからです。
ある二人の子どもはよく遊んでいます。仮にA君とB君としましょう。A君が仕掛けるトラブルもあり、B君のお母さんはA君と遊ばせるのを避けさせたいと言ってこられました。しかし幼稚園での様子は、トラブルの後もすぐに仲直りしてよく一緒に遊んでいます。B君もA君のことが好きだと言います。このようなケースでは、お母さん方に子どもの
世界を大人が壊してはいけない、とお話します。子どもは本当に嫌な相手なら避けるというよりも、別の友達関係を築きます。大人社会とは違い、ごく自然にです。大人と子どもの違いを本当に自覚してこそ、子どものよき理解者となりえる第一歩です。